「履き替え不要」のタイヤがあるらしい
ここ数年で急速に注目を集めているのがオールシーズンタイヤです。その名のとおり、春夏秋冬を1セットのタイヤで乗り切れるというコンセプト。スタッドレスへの面倒な履き替えが不要になるなら、たしかに魅力的ですよね。
ただ、「万能」と聞くとどうしても「中途半端なのでは?」という疑問も出てくる。実際のところ、オールシーズンタイヤは万人におすすめできるものではなく、向いている人とそうでない人がハッキリ分かれます。
この記事では、オールシーズンタイヤのメリットとデメリットを正直にまとめて、自分に合っているかどうかを判断する材料を提供します。
オールシーズンタイヤとは
基本的な位置づけ
オールシーズンタイヤは、夏タイヤとスタッドレスタイヤの中間に位置する製品です。夏の高温にも冬の低温にもそこそこ対応できるゴム配合を採用していて、軽い雪道なら走行可能な設計になっています。
もう少し具体的に言うと、「ドライ路面で夏タイヤの8〜9割の性能」「雪道でスタッドレスの6〜7割の性能」というイメージ。どちらかに特化しているわけではなく、幅広い条件でそこそこの性能を発揮するのが特徴です。
M+Sとスノーフレークマークの違い
オールシーズンタイヤを調べていると、「M+S」と「スノーフレークマーク(3PMSF)」という2つの表記に出くわします。これがけっこう大事な違いなので、しっかり押さえておいてください。
M+S(Mud and Snow) 「泥と雪に対応」という意味の自己申告マーク。メーカーが「このタイヤは泥や雪道でも走れますよ」と宣言するだけで付けられます。第三者試験は不要。つまり、実際の雪上性能は保証されていません。
夏タイヤでもSUV用タイヤにM+Sが付いていることがあり、「M+Sだから雪道OK」と思うのは危険です。
スノーフレークマーク(3PMSF:Three-Peak Mountain Snowflake) 山のマークの中に雪の結晶が入ったロゴ。こちらは国際的な試験基準(ASTM規格)をクリアした証で、一定以上の雪上性能が保証されています。
オールシーズンタイヤを選ぶなら、スノーフレークマーク付きのものを選ぶのが鉄則。高速道路の冬用タイヤ規制時にも、スノーフレークマーク付きタイヤなら通行が認められます(チェーン規制を除く)。
メリット:こんなに楽になる
1. タイヤ交換が年2回→0回に
季節ごとの履き替えが不要。交換工賃(1回4,000〜8,000円×年2回)と予約の手間がまるごとなくなります。
2. 保管場所が不要
スタッドレスを持つと半年間の保管場所が必要ですが、オールシーズンなら考えなくていい。マンション住まいの方には特に大きいメリットです。
3. トータルコストが安くなるケースも
3.5年スパンでの比較はこちら。
| 項目 | 2セット体制 | オールシーズン1セット |
|---|---|---|
| タイヤ代 | 110,000円 | 60,000円 |
| 交換工賃 | 56,000円 | 0円 |
| 保管費 | 28,000円 | 0円 |
| 合計 | 194,000円 | 60,000円 |
オールシーズンは摩耗がやや早い傾向があるので実際の差はもう少し縮まりますが、それでもトータルでは安くなるケースが多いです。
デメリット:知っておくべき限界
1. 凍結路面(アイスバーン)は走れない
これがオールシーズンタイヤ最大の弱点です。圧雪路(雪が踏み固められた路面)ならある程度走れますが、ツルツルのアイスバーンではスタッドレスと大差がつきます。
スタッドレスの氷上グリップを100とすると、オールシーズンは40〜50程度というのが実感値。つまり凍結路面では制動距離が2倍近くになる可能性がある。これは命に関わる差です。
北海道・東北・北陸など、日常的にアイスバーンが発生する地域ではオールシーズンタイヤは推奨できません。
2. 夏タイヤほどのドライ性能は出ない
オールシーズンタイヤのゴムは低温性能を確保するために柔らかめの配合になっています。そのため、真夏の高温路面ではゴムがやや柔らかくなりすぎて、ブレーキング時やコーナリング時の応答が夏タイヤに劣ります。
日常の街乗りで体感できるかというと、普通に走る分にはあまり差を感じない方が多い。ただ高速道路の合流やワインディングロードでは「なんとなくグニャッとする感じ」を覚えることがあるかもしれません。
3. 燃費・摩耗がやや不利
転がり抵抗がやや大きく、燃費への影響は1〜3%程度。また柔らかいゴム配合のぶん摩耗も早めで、夏タイヤが40,000km持つところオールシーズンは30,000〜35,000kmが目安です。
向いている人・向いていない人
オールシーズンタイヤが向いている人
- ▸年間の降雪が数回程度の地域に住んでいる(関東平野部、東海、関西、四国、九州など)
- ▸雪が降った日は車に乗らなくてもいい(電車通勤、在宅ワークなど)
- ▸タイヤの保管場所がない(マンション住まい)
- ▸交換の手間とコストを省きたい
- ▸年に1〜2回、スキー場に行く程度(チェーン携行でカバーできる)
オールシーズンタイヤが向いていない人
- ▸豪雪地帯・凍結地帯に住んでいる(北海道、東北、北陸、長野など)
- ▸毎日車通勤で、雪が降っても乗らないという選択ができない
- ▸ドライ性能にこだわる(スポーティな走りを求める方)
- ▸燃費を最優先したい
代表的なオールシーズンタイヤ
現在市販されている主なオールシーズンタイヤを紹介します。すべてスノーフレークマーク付きです。
- ▸MICHELIN CROSSCLIMATE 2 ── ウェット・スノー性能ともに高く、世界的に評価が高い定番
- ▸GOODYEAR Vector 4Seasons Gen-3 ── バランスの良い性能で、ミシュランよりやや手頃
- ▸DUNLOP ALL SEASON MAXX AS1 ── 日本の気候に合わせた開発。シャーベット雪に強い
- ▸YOKOHAMA BluEarth-4S AW21 ── ウェット性能が高く、梅雨時の安心感がある
まとめ
オールシーズンタイヤのメリットとデメリットを整理します。
メリット
- ▸季節ごとの交換作業・保管場所が不要
- ▸トータルコストが安くなりやすい
- ▸急な降雪にも対応可能
デメリット
- ▸アイスバーン(凍結路面)には対応できない
- ▸夏タイヤほどのドライ性能は出ない
- ▸燃費・摩耗がやや不利
一言でまとめると、「雪が年に数回しか降らない地域で、凍結路面を走る必要がない人」にとってはオールシーズンタイヤは非常に合理的な選択です。逆に、日常的に凍結する地域の方はスタッドレスを選んでください。
自分の住んでいる地域の気候と、自分のライフスタイルに照らし合わせて判断してみてくださいね。タイヤ探しはTireMatchでサイズ検索からどうぞ。